

Column
日立医薬情報ソリューションズで働く、
社員たちのコラムをご紹介します。


「神経を使う」話
神経は身体の中で情報伝達を担う重要なものです。身体中にある神経細胞により生命活動は支えられています。 今回はこの「神経系」の全体像についてみてみましょう。 神経系の体系 神経系は、中枢神経系と末梢神経系に大別されます。 中枢神経系は、脳と脊髄からなり、運動、感覚、自律機能などの生体の諸機能を統括します。 末梢神経系は、末梢の各器官と中枢神経系を結んでおり、脳と繋がって頭頸部を支配する脳神経と、脊髄に繋がって四肢・体幹を支配する脊髄神経に分けられます。 末梢神経系は、大脳からの運動命令を骨格筋などに伝える運動神経、感覚受容器で捉えた情報を大脳などに伝える感覚神経、無意識的に働いて恒常性(ホメオス...
「医薬」よもやまばなし
体幹の話
体幹が大事とか、体幹を鍛えるといったことが話題になる「体幹」。 体の幹と書く体幹ですが、上肢と下肢を除く人体の部位を指します。通常、頭部は含めず、頸部・胸部・腹部・背部から成る胴体部分が対象です。 今回はこの「体幹」についてみてみましょう。 体幹の骨格 体幹を構成する骨格としては、脊柱、胸郭、骨盤があります。 <脊柱> 脊柱は体幹の軸になる背骨のことです。脊椎は、脊柱を構成する椎骨の総称です。 脊柱は、頸椎(首の骨)、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎から構成されており、主に体の支持、体幹の運動、中枢神経である脊髄の保護の役割を担います。 脊柱は、構成単位である椎骨が連結しています。 各椎骨は、椎体、椎...
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筋と腱の話
筋(筋肉)は身体を形成する組織の一つで、その収縮・弛緩によって様々な動きが可能になっています。 また、腱は筋と骨を、靱帯は骨と骨を繋いでいます。今回はこの筋と腱・靱帯についてみてみましょう。 筋の種類 筋は、存在部位の観点で、骨格筋、心筋、内臓筋に分類されます。 骨格筋は体幹や四肢を構成し、一般に「筋肉」と言えば、この骨格筋を指すことが多いです。 心筋は心臓を、内臓筋は内臓を形成する筋です。 組織構造としては、横紋筋、平滑筋に分類されます。 骨格筋と心筋は横紋筋、内臓筋は平滑筋です。 骨格筋は細長い繊維状の多核細胞が並行しており、心筋では単核細胞がやや不規則に結合しています。 平滑筋は紡錘形の...
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関節の話
骨は体を支え、運動を担い、脳や臓器を保護する役割を担っています。その運動機能は、複数の骨を連結する関節によって多様な動作が可能になっています。 今回は体中に約260ヶ所もあるという「関節」についてみてみましょう。 関節の種類 関節とは、二つ以上の骨が連結する部位を指します。 関節には可動関節と不動関節があります。 不動関節は、骨と骨の間が結合組織によって強固に連結され、可動性がほとんどないものを言います。頭蓋骨のつなぎ目などがこれにあたります。 一般的な関節(可動関節)は可動性を保持し、関節可動域の範囲内で関節運動を行うことができます。 主な関節運動として、屈曲・伸展(曲げ伸ばし)、内転・外...
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「骨のある」話
「骨のある人」というと、自分の信念をどこまでも貫こうとする強い心、気概を持った人を指します。骨は体の根幹をなす重要なものです。 ヒトの骨格は成人で概ね200個程度の骨から構成されています。今回はこの「骨」についてみてみましょう。 骨の役割 骨は体を支え、運動を担い、脳や臓器を保護する役割を担っています。 支持機能としては、体を支えて人体の形を保持します。 運動機能としては、骨は筋肉と連携して運動を可能にします。関節を通じて骨が動くことで、様々な動作が可能になります。 保護機能としては、頭蓋骨は脳、肋骨は心臓や肺、脊柱(いわゆる背骨)を構成する椎骨は脊髄というように、重要な臓器を外部の衝撃から...
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腸内細菌の話 その3
常在菌である腸内細菌。これには多種多様な細菌があります。 今回は、前回に続いて、腸内細菌と健康や医療との関係をみてみましょう。 敵か味方か、腸内細菌 腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌に区別されることがあります。 善玉菌にはビフィズス菌や乳酸菌などがあり、ビタミンを作り、消化吸収を助けます。感染防止や免疫力維持にも繋がり、健康維持にも有益です。免疫で排除されることなく、密接な関係を保持して共生関係にある細菌群です。 悪玉菌にはウェルシュ菌やブドウ球菌、大腸菌があり、腸内を腐敗させ、有害物質やガスを作ります。悪玉菌が増えると体に悪影響を与え、病気を誘発することがあります。健康状態が悪くなった時...
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腸内細菌の話 その2
腸内細菌は人体に棲みついた余所者ですが、単なる寄生ではなく密接な関係にあると言えそうです。 今回は、腸内細菌と疾患や健康維持との関係をみてみましょう。 肥満・生活習慣病と腸内細菌 コレステロールはホルモンや細胞膜などの原料として不可欠ですが、消費されない未使用のコレステロール(LDLコレステロール)が増えると動脈硬化の要因となります。 コレステロールを分解する腸内細菌(オシリバクターなど)の存在が確認されており、また腸内細菌代謝物のポリアミンは、血管内皮細胞の働きを維持するのに有用です。 逆に、腸内細菌代謝物としてトリメチルアミンが産生されると、トリメチルアミンオキシドに変換され、結果として動...
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腸内細菌の話 その1
ヒトの体には多くの微生物が存在しています。外界から侵入して病気をもたらす病原菌とは別に、健康なヒトの体にも日常的に存在しているのです。そして健康と病気に深く関わっています。 今回はこの常在菌、特に腸内細菌についてみてみましょう。 常在菌 常在菌とは、主に健康な人の身体に日常的に存在する微生物(主に細菌)で、病原性を示さないものを指します。 外界と接している場所に棲息しており、腸内に最も多く、他には口腔内、皮膚表面などに存在しています。それぞれ多種類の細菌が存在しますが、地域、環境や生活習慣、身体の部位により多様な構成を取っています。 *「細菌叢・微生物叢」は細菌・微生物の集合体を意味します...
「医薬」よもやまばなし
続・加齢と老化
個体レベルに見られる老化は、老化細胞やゲノム・エピゲノムの劣化といった細胞レベルの老化とも、生命活動の中でのタンパク変性や炎症といったこととも関連しています。 前回に引き続き、今回も加齢と老化についてみてみましょう。 糖化と酸化と炎症 老化には、主要な要因として、糖化、酸化、炎症が関係しています。 「糖化」とは、過剰な糖が体内のタンパクと結びつき、AGEs(終末糖化産物:Advanced Glycation End Products)という有害物質を生成するものです。 糖が過剰に結合して本来の機能を失った変性タンパクが、細胞や臓器に炎症を引き起こし、細胞の機能を損ない、老化を加速させます。糖化...
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加齢と老化
昨今、「人生100年時代」とも言われるようになっています。寿命は延びているし、若返ってもいるのですが、それでも個人差はあるにせよ、年齢とともに老化は確実に進みます。 前回は細胞の観点で老化をみましたが、今回は少し視点を変えて、加齢と老化についてみてみましょう。 高齢化の進む社会 「高齢者」はWHO(世界保健機関)や先進国では65歳以上と定義されています。日本の総人口に占める 65 歳以上の人口割合は1950年の4.9%以降上昇を続けており、2024年時点で29.3%。まさに「超高齢社会」です。 *高齢者の人口割合(高齢化率)・・7%を超えたら「高齢化社会」、14%超を「高齢社会」、 ...
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続・細胞の不思議③-細胞と老化
人体を構成する細胞が正常な状態にあり、正常な新陳代謝を行うことで健康が維持されますが、個人差はあるにしても年齢を重ねると老化は進みます。 今回は、老化と細胞についてみてみましょう。 老化の特徴と細胞 老化による細胞の状態変化の特徴がいくつか挙げられています。 遺伝子に関しては、ゲノムとエピゲノムの変化があります。 ゲノムにおいては、紫外線や酸化ストレス等によってDNAが傷つくことで、遺伝情報が正常な状態を維持できなくなります。これは加齢とともに蓄積していき、発がんにも関係します。 また、エピゲノムは遺伝子の発現を制御する機能ですが、この変化は遺伝子発現の異常に繋がるものです。 細胞内部にお...
「医薬」よもやまばなし
続・細胞の不思議②-オートファジー
生体の構造・機能を維持するために、古くなった細胞を新しい細胞に入れ換えたり、有害な細胞を排除したりするための仕組みとして「細胞死」がありますが、これに加えて、「オートファジー(自食作用)」とよばれるものがあります。これは、細胞内の不要となった物質や異常な物質を分解処理する仕組みです。 このオートファジーに関する研究を対象に、2016年、日本の大隅良典氏がノーベル生理学・医学賞を受賞しました。 今回は、この「オートファジー」について見てみましょう。 オートファジーのメカニズム 細胞は細胞内の不要となった物質や異常な物質を分解処理する仕組みをもっています。 その一つが「オートファジー」(自食作用)...
「医薬」よもやまばなし
続・細胞の不思議①-分化と新陳代謝
ヒトの体には約200種類以上の細胞があると⾔われていますが、受精卵という一つの細胞を出発点にして、細胞分裂を繰り返していく過程で、体の一部を構成する細胞に専門化していきます。 またそれぞれの細胞には寿命があり、生体内では古い細胞から新しい細胞への入れ替わりによって機能や形態を一定に保っています。 今回は、この細胞の機能分化と新陳代謝について見ていきましょう。 細胞の分化と増殖 体を構成する細胞にはたくさんの種類があり、それぞれの細胞において基本構造は共通ではあるものの、独自の機能・役割をもっています。 受精卵という一つの細胞を出発点として細胞分裂を繰り返していく過程で、一定の機能や形を持つ様々...
「医薬」よもやまばなし
続・満たされない薬
世の中に薬が存在するのに使えないというのは、患者にとって大問題です。 今回は、こうした使用できない・入手できないといったケースについて取り上げてみましょう。 ドラッグ・ラグとドラッグ・ロス 医薬品としては存在するのに、日本では使えないということが問題視されています。 海外で承認されていながら日本では承認されていない「国内未承認薬」という問題です。 ドラッグ・ラグ・・海外で承認・発売された薬が日本国内で承認・発売されるまでに長時間要する事象 ドラッグ・ロス・・海外で承認・発売された薬が日本で承認されていないこと つまり、海外で使える薬が日本では使えない「ドラッグ・ロス」、海外で使...
「医薬」よもやまばなし
満たされない薬
現代の医療において、「薬」は治療に大きなウェイトを占めています。多くの薬が市場に投入され、さまざまな場面でその有用性が発揮されています。 一方で、望む薬が存在しない、入手できない、使用できないといった事態もあります。今回は、こうしたニーズを満たすことができていない薬について取り上げてみましょう。 UMN(Unmet Medical Needs) アンメット・メディカル・ニーズとは、満たされていない医療ニーズ、つまり、いまだ有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズのことです。新薬の創出によって、有用な治療法が使えるようになってきていますが、それでも尚、アンメット・メディカル・ニーズは数多く存在...
「医薬」よもやまばなし
続・体内時計の話
生物は体内に時計を持っていて時間を把握し、体内の状態を調整する機構が備わっています。 今回は、前回に続き、体内時計について見ていきましょう。 体内時計の乱れ 時差のある場所に移動すると時差ボケ(ジェットラグ)が生じます。これは体内時計と現地時間のずれによるものです。 体内時計(概日リズム)の乱れはこれに似た状態です。 解りやすいのは睡眠への影響で、望ましい時間に入眠・覚醒することが難しいという状態になります。睡眠不足では、日中の眠気や頭痛・倦怠感・食欲不振、それに意欲低下・記憶力減退などの不調が現れてきます。また、体内ホルモン分泌や自律神経機能にも影響します。これが常態化すると、肥満やメタボリ...
「医薬」よもやまばなし
体内時計の話
生物は体内でいろいろな機能が規則正しく働くことで生命を維持しています。 2017年のノーベル生理学・医学賞は、体内時計の分子メカニズムの発見に対して授与されました。受賞したのは、アメリカのジェフリー・ホール、マイケル・ロスバッシュ、マイケル・ヤングの3名の研究者です。 今回は、恒常性維持(ホメオスタシス)に関係する体内時計について見ていきましょう。 体内時計と概日リズム 生物は時間を把握して体内の状態を調整する機構を備えています。 地球における自転周期は24時間ですが、体内でもいろいろな生理現象が概ね24時間周期で変動しています。 この24時間周期のリズムを「概日リズム(サーカディアン...
「医薬」よもやまばなし
続・ホメオスタシス
ヒトの生体が生命を維持していくために、体内の環境を一定の状態に維持する機能が備わっています。 今回は、前回に引き続き、この恒常性維持(ホメオスタシス)について見ていきましょう。 内部環境の因子 体液の状態以外にも恒常性を維持しているものがあります。いくつか取り上げてみます。 <体温> ヒトは恒温動物です。 体内では生命維持のために絶えず化学反応が行われていますが、ここで触媒として働く酵素の至適温度環境のため、体温を一定に保持する必要があります。 体温は、体内の化学反応の過程で発生する熱産生と、体外への熱放散のバランスで決まります。 外部環境の寒暖は皮膚にある温受容器及び冷受容器(真皮にある自由...
「医薬」よもやまばなし
ホメオスタシス
ヒトの生体が生命を維持していくには、体内の環境がある状態に保たれている必要があります。 例えば、ヒトは恒温動物で、外気温がどうであれ、体温を一定の範囲内に保とうとします。 今回は、この恒常性維持(ホメオスタシス)について見ていきましょう。 恒常性維持(ホメオスタシス) 外部環境や体内の変化に対して、生命維持に必要な生理機能を正常に保つために、生体の内部環境を一定の状態に維持しようとします。この仕組みを「恒常性維持(ホメオスタシス)」といいます。 体温、体液、血流・血圧、血糖値、エネルギー代謝、呼吸や免疫などの生理機能の調整が、生体内では間断なく行われています。 体内の様々なプロセスが正常に行わ...
「医薬」よもやまばなし
細胞の不思議④-機能その2
細胞にはいろいろな機能があります。前回は細胞の輸送システムについて見ましたが、今回は、細胞における情報(シグナル)伝達とエネルギー生成について見ていきましょう。 シグナル伝達 生物(多細胞生物)は、外部環境への適応、個体としての統一の取れた反応や内部環境の恒常性維持(ホメオスタシス)のために、生体内で情報を伝達する仕組みを有しています。この個体を構成する細胞における情報のやり取りを「シグナル伝達」といいます。その要素は、信号(シグナル)、受容体、応答です。細胞外の情報(シグナル)を介した細胞間の伝達と、細胞外のシグナルを受けた細胞内の情報伝達があります。これらは細胞で引き起こされる化学反応の積...
「医薬」よもやまばなし
細胞の不思議③-機能その1
ヒトの体には200種以上の細胞がありますが、個々の特化した機能以外に、共通する基本的な構成要素・機能を有しています。今回は、細胞のもつ機能について見ていきましょう。 細胞膜の機能 細胞を囲む細胞膜は、リン脂質とコレステロールを主要成分とする脂質二重層です。 まず細胞膜には、物質の出入りを制御する機能があります。酸素や二酸化炭素などいくつかの物質(小分子)は細胞膜を自由に通過できますが、大部分の分子は通過できません。しかしながら、生命活動を行う上で、細胞は物質の取り込みや排出をする必要があり、そのための輸送システムが備わっています。 主にナトリウムイオン・カリウムイオン・カルシウムイオン・クロラ...
「医薬」よもやまばなし
細胞の不思議②-器官と細胞
ヒトの体にある37兆個の細胞は単一ではなく、多くの種類があります。そして、それらが系統だって組み合わさることで、生命体としての個体が形成されています。今回は、体を構成するいくつかの器官と細胞について見ていきましょう。 細胞・組織・器官 ヒトの体にはいろいろな器官があり、各器官は組織から構成され、そして各組織は細胞から構成されています。生命活動の最小単位は細胞ですが、200を超える種類があり、それぞれの機能を果たしています。そして、同様の機能・形態を持つ細胞が特定の配列で集まったものが組織、そして複数の組織が特定の機能を目的に集合したものが器官です。また、複数の器官が連携して機能しているものを器...
「医薬」よもやまばなし
細胞の不思議①-構造
生物を構成する基本単位である細胞。全ての生物は細胞でつくられています。その大きさは、1㎛以下から数十㎛のものがあり、細胞の種類によって様々です。ヒトのからだには、約37兆個の細胞があるとされます。*以前は60兆個とされていましたが、これは全ての細胞が同じ大きさであると仮定して算出されたもので、2013年に細胞の大きさを考慮したものとして約37兆個に訂正されました。 今回は、細胞の世界を見ていきましょう。 細胞からみた生物の分類 細胞にはいろいろな種類がありますが、全ての細胞で共通するのは、膜(細胞膜)で覆われた構造と、遺伝情報を内部に持っているということです。遺伝情報が核(細胞核)の中にある細...
「医薬」よもやまばなし
デジタル こぼれ話
デジタルヘルスに限らず、医療・製薬の世界でもインパクトのある「AI(人工知能)」ですが、AIの進展はコンピュータと大きく関わっています。今回は、医療・製薬の世界にも関係する「AI(人工知能)」とコンピュータについて簡単に少しだけ見てみることにしましょう。 コンピュータ(電子計算機)の進展 計算機という点では、「アンティキティラ島の機械」が現在確認できる最古の歯車式計算機とされています。紀元前2世紀頃の古代ギリシア時代に天体運航の計算のために作られたとされています。17世紀頃から種々の機械式計算機が作られましたが、現代のコンピュータに通じるデジタル式で電子回路を採用したものは20世紀に入ってから...
「医薬」よもやまばなし
デジタルヘルス その3
デジタル技術の進展に伴い、医療においても医療現場のIT導入にとどまらず、検査・診断・治療へ大きく関わるようになり、また日常生活への介入や、更には予防や健康増進にもデジタル技術が適用されるようになっています。今回は、健康・医療におけるデジタル技術の適用について取り上げてみましょう。 デジタルヘルス 「デジタルヘルス」に厳密な定義はありませんが、一般的には、デジタル技術(ICT/AI/IoT等)を医療・健康分野に応用する取組みを指します。「デジタルヘルス」と近い用語に、「デジタル医療」「デジタル治療」があります。 デジタルヘルス・・医療だけでなく、未病・予防、健康増進を含む...
「医薬」よもやまばなし
デジタルヘルス その2
デジタル技術を医療・健康分野へ応用したデジタルヘルスは、「デジタル技術」の進展に合わせて、医療・ヘルスケアに関する「デジタルデータ」の蓄積と「アプリケーション」の普及により、個人のライフステージに応じたサービスを提供していくものです。また、こうしたデジタルヘルスが適切に推進されるように、規制等の整備が必要になります。今回は、健康・医療に関するデジタルデータに着目してみていくことにしましょう。 EMR/EHR/PHR 医療に関するデータといえば、まず思い浮かぶのはカルテ(診療録)ではないでしょうか。電子カルテの導入も大規模病院を中心に進んでいますが、診療所でも半数ほどは導入されている状...
「医薬」よもやまばなし
デジタルヘルス その1
昨今、「デジタル」という言葉が種々の場面で見かけられるようになっていますが、本来の意味からはかなり拡大されて使われているように見えます。この「デジタル」も健康・医療に大きく関わってきています。今回は、この「デジタル」と健康・医療の関係の前に、まずは「デジタル」について概観していくことにしましょう。 「デジタル」の意味するところ 「デジタル」は「アナログ」に対する言葉です。アナログが連続量として表現されるのに対し、デジタルは離散値として表現されます。時計で言えば、アナログ時計は長針・短針を使って時刻を連続量として表すのに対し、デジタル時計では数字で示すので、表示の桁によって、分単位であれば1分...
「医薬」よもやまばなし
続・核酸医薬
新型コロナウイルスワクチンで知名度を上げ、2023年のノーベル生理学・医学賞の対象ともなった、核酸医薬の一つであるmRNA(メッセンジャーRNA)医薬ですが、核酸医薬としては、種々のものが研究・開発されています。承認されたものはまだ多くはないですが、承認・上市されたものもあります。今回は、前回に引き続き、いろいろな核酸医薬についてみてみましょう。 アンチセンス アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、標的とするRNAに相補的に結合することで、RNAの機能を制御するものです。構造としては、特定のRNAに相補的な配列を持つ一本鎖オリゴヌクレオチド(DNA/RNA)で、塩基長は8~30程度です。...
「医薬」よもやまばなし
核酸医薬
2023年のノーベル生理学・医学賞は、メッセンジャーRNA(mRNA)の技術による新型コロナウイルスワクチン開発を可能にした発見により、米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授とドリュー・ワイスマン教授の2人に授与されることになりました。このmRNAワクチンは、核酸医薬の一つです。核酸医薬は、バイオ医薬品の一種で、抗体医薬品に続いて脚光を浴びているものです。今回は、この核酸医薬についてみてみましょう。 核酸医薬とは 核酸は遺伝情報に関係する物質で、DNAとRNAがあります。塩基、糖であるデオキシリボース/リボース、リン酸が結合したもの(ヌクレオチド)で構成されています。また、遺伝...
「医薬」よもやまばなし
モダリティについて
医薬・製薬の世界で、「モダリティの多様化」ということが言われています。「モダリティ(modality)」というのは、「様式」といった意味があり、ここでは薬の形態や治療手段を指すものです。近年、医学・薬学の進展に伴って、新しい形態・様式の医薬や治療法が実用化されてきていることが、多様化と言われる所以です。今回は、医薬におけるモダリティについてみてみましょう。 モダリティの種類 モダリティの種類について、定義や分類に確固としたものがある訳ではないので、代表的な形態・様式の観点から挙げてみましょう。 <天然物・生薬>そもそもの薬の起源は、自然に存在するもの、つまり天然物です。何等かの薬...
「医薬」よもやまばなし
医療機器
医療に欠かせないものの一つに、医療機器があります。医療機器には、検査・診断及び治療といった医療の現場で使用されるものから、体温計やコンタクトレンズ、絆創膏といった日常生活で使用されるものまで、多種多様なものがあります。今回は、この「医療機器」についてみてみましょう。 医療機器の定義 医療機器は、医薬品医療機器等法によって、定義・規制されています。 医療機器については、医薬品医療機器等法では以下のような定義となっています。 人・動物の疾病の診断、治療または予防に使用されるもの 人・動物の構造、機能に影響を及ぼすことを目的にした機械器具等 ここで、医薬品・再生医療等製品を...
「医薬」よもやまばなし
感染症とがん
がんは遺伝子に起こる病気であり、がんという病気自体が感染することはありません。しかしながら、細菌やウイルスの感染が原因となるがんはあります。今回は、感染症とがんの関係についてみてみましょう。 感染が原因となるがん 細菌・ウイルス感染のなかには、特定のがんの発生を引き起こすものがあります。がんの発生に関係する細菌・ウイルスとしては、以下が知られています。 ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)・・胃がん B型/C型肝炎ウイルス(HBV/HCV)・・肝がん ヒトパピローマウイルス(HPV)・・子宮頸がん、陰茎がん、外陰部がん、膣がん、肛門がん、口腔がん、中咽頭がん ...
「医薬」よもやまばなし
感染症と免疫
感染症を引き起こす病原体は、生体にとって異物の最たるものです。異物の侵入に対しては免疫が働きます。今回は、感染症と免疫の関係についてみてみましょう。尚、免疫については、過去のコラム「免疫の話」「続・免疫の話」を参考にしてください。 細菌に対する免疫 自然免疫による細菌排除は以下のメカニズムによって行われます。 病原体の発見体内随所に存在する、自己とは異なる「異分子」を認識するセンサーによって、異物である細菌を感知する 炎症サイトカインの分泌異物の侵入を周囲に知らせ、白血球などの免疫細胞を感染部位に呼び寄せる(白血球遊走) 食細胞(免疫...
「医薬」よもやまばなし
感染症の流行
既知の感染症も完全には克服できたとはいえず、一方で新規の感染症が流行することもあります。そして、その病原性と伝染性によっては、大きな社会的インパクトを与えることもあります。感染症の流行について、これまでの闘いの一端をみてみましょう。 感染症の流行 感染症の流行は、規模に応じて、「エンデミック」「エピデミック」「パンデミック」に分類されます。規模としては、「エンデミック < エピデミック < パンデミック」となります。 エンデミック(特定感染 / 地域流行)ある感染症が特定の地域である程度発生することや、恒常的あるいは周期的な罹患が認められること。流行が特定の地域に限定される風土病もこれに...
「医薬」よもやまばなし
変遷する感染症
感染症には多種多様なものがあり、その病原性も様々ですが、感染が広まることで人類にとって脅威になったものもあります。 新規の感染症の流行や、変貌といった観点から、その概略をみてみましょう。 感染症の遷移 太古の昔よりいろいろな感染症に苦しめられてきました。そして、克服できていないものが多いのも事実としてあります。 そうした中で、改めて問題になっている感染症において、感染の経緯の観点でいくつかのタイプが挙げられます。 新興感染症1970年頃までに明らかになっていなかった新たな病原体によって生じ、公衆衛生上問題となっている感染症・・エボラ出血熱、AIDS、C型肝炎、SARS/MERS/新型コロ...
「医薬」よもやまばなし
感染症-ウイルスと抗ウイルス薬
細菌と並んで、感染症を引き起こす厄介な病原体にウイルスがあります。ヒトを宿主とするウイルスは数百あるようですが、新たなウイルスの発見も続いています。今回は、感染症のうち、ウイルスについてみてみましょう。 ウイルス ウイルスは20~300nmほどの非常に小さい構造体です。大きさ1μm(1000nm)程度の原核生物である細菌よりも小さなものです。ウイルスは細胞構造を持たず、核酸(DNAかRNAの一方)とタンパク質の殻のみでできています。タンパク合成やエネルギー生成の場となる細胞構造がないため、単体では増殖能を持たず、宿主の細胞を利用して増殖します。つまり、宿主細胞の機構を利用して、核酸の...
「医薬」よもやまばなし
感染症-細菌と抗菌薬・・こぼれ話
細菌を病原体とする感染症においては、その原因の特定や治療が可能になってきています。今回は、「細菌と抗菌薬」にまつわるこぼれ話を2題、お送りしましょう 細菌の発見 微生物の存在は、顕微鏡の発明によって確認されました。1674年、オランダのアントニ・ファン・レーウェンフックが自作の顕微鏡を用いて、水中で動き回る微生物を捉えたのが始まりです。ただ、そういった生物が存在するというレベルに留まり、しばらくはそれ以上の進展をみていませんでした。 微生物と感染症の関係を明らかにしたのは、「細菌学の父」と称される19世紀のパスツールとコッホです。 フランスのルイ・パスツールは、発酵や腐敗の原...
「医薬」よもやまばなし
感染症-細菌と抗菌薬
感染症を引き起こす病原体として、特に細菌は多種のものが知られています。地球上には数百万種の細菌が存在するとの推定があるようですが、その中で特定されているものは30000種、ヒトに対する病原性を持つものも500種以上知られています。今回は、感染症のうち、細菌についてみてみましょう。 細菌 細菌は大きさ1μm程度の単細胞生物です。細胞壁を持ち、核膜を持たない原核生物です。動植物などの真核生物の細胞では、核膜に包まれた細胞核が存在してその中に染色体DNAがあるのですが、原核生物では染色体DNAが核膜に包まれずに存在している形になります。細菌は単体で増殖能を持っており、この点はウイルスと大き...
「医薬」よもやまばなし
感染症-概略その2
古くて新しい病気である感染症の概略について、前回の感染・病原体に引き続き、今回は、検査と治療をみてみましょう。 検査 病原体を同定するための微生物学的検査として、以下の検査があります。 培養検査:患者から得られた検体に存在する原因微生物(細菌・真菌)を発育・増殖させ、分離・同定する。 顕微鏡検査:細菌・真菌、原虫は光学顕微鏡で観察が可能。微生物ごとに適した染色法を用いる。 遺伝子検査(分子生物学的検査):検体中の病原体の遺伝子を増幅し、検出する。 免疫学的検査:抗原抗体反応を用いて、検体中の抗原や抗体を検出する。 ウイルス検査としては、遺伝...
「医薬」よもやまばなし
感染症-概略その1
感染症は太古の昔から人類を脅かしてきた病気です。これまでに多くの感染症への対処が可能になってきましたが、それでも未知の感染症には容易に対応できるようにはなっていません。古くて新しい病気である感染症について、その概略をみていくことにしましょう。 感染と感染症 感染とは、病原体が様々な感染経路を通して生物(宿主)の組織・臓器に定着・侵入・増殖し、生体に何らかの反応が生じた状態をいいます。大半の場合、病原体は生体防御機構(免疫)によって感染できずに宿主から排除されますが、感染が成立して明らかな症状・徴候が現れる(発症する)と感染症となります。 感染の成立には、病原体の病原性と宿主の生体...
「医薬」よもやまばなし
がんと免疫
「がん」は免疫系の病気という訳ではありませんが、その発症や治療には関連があります。今回は、このがんと免疫の関係についてみていくことにしましょう。 がんの発症と免疫 免疫には異常細胞を排除する働きがあります。変異した異常細胞であるがん細胞を免疫が監視・排除し、これによってがんの発生を防いでいると考えられています。ここでは、自然免疫及び獲得免疫の両方が働いています。 自然免疫マクロファージ・NK細胞による非特異的な細胞破壊 獲得免疫細胞傷害性T細胞によるがん抗原(腫瘍関連抗原)に特異的な細胞破壊 自然免疫では、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)が中心となって働きます。 ...
「医薬」よもやまばなし
続・抗体医薬品
免疫は自己にとっての異物を判別して排除するという生体に備わった自己防御の仕組みです。前回は、「免疫の仕組みを使ったくすり」として、抗体医薬品についてその概要をみてみました。今回は、抗体医薬品にどういうものがあるかについてみてみましょう。 感染症に対する抗体医薬品 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬として承認されたものがあります。標的とするウイルスのスパイクタンパクに対して抗体が結合することにより、ウイルスが細胞の表面に付着するのをブロックし、ウイルスを無力化します。これは抗体の中和作用によるもので、ウイルスに対する中和抗体となります。 自己免疫疾患に対する抗体医薬品 自...
「医薬」よもやまばなし
抗体医薬品
免疫は自己にとっての異物を判別して排除するという生体に備わった自己防御の仕組みです。前回は、免疫系に作用する薬として「免疫反応を制御するくすり」をみてみました。今回は「免疫の仕組みを使ったくすり」として、抗体医薬品についてその概要をみてみましょう。 抗体と抗体医薬品 抗体は、抗原と特異的に結合することにより様々な免疫反応を引き起こすもので、獲得免疫の主役の一つです。 病原菌などの本来は体内にない異物が体内に入ってくると、その異物にある目印(抗原)と特異的に結合する抗体をつくり、異物を無毒化します。これは「抗原抗体反応」と呼ばれ、自然に備わっている免疫機能です。ひとつの抗体には特定の抗原だけを認...
「医薬」よもやまばなし
免疫とくすり
免疫が正常でないことによって起こる病気や身体の異常、免疫反応としては正常だけれど治療等に不都合がある場合には、免疫反応を何等か制御する必要があります。今回は、免疫系に作用する薬の概要についてみてみましょう。 免疫刺激薬(免疫賦活薬) 免疫能を活性化する免疫刺激薬としては、抗腫瘍免疫能、感染防御免疫能の増強などに用いられるサイトカイン製剤や免疫グロブリン製剤があります。 サイトカインの一種であるインターロイキン2(IL-2)を製剤化したインターロイキン2製剤は、抗原非特異的免疫(自然免疫)及び抗原特異的免疫(獲得免疫)の両方を増強させる作用を持ちます。NK細胞やT細胞などを活性化さ...
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免疫と病気
免疫は人体に備わった自己防御の仕組みで、病気の予防や発症、そして治療にも関わっています。免疫が正常でないことによって、病気や身体の異常に繋がることがあります。今回は、免疫と病気の関係についてみてみましょう。 免疫不全 免疫不全というのは、免疫が上手く働かず、生体防御がきちんと機能しない状態です。免疫不全は、先天的なものと後天的なものに分けられます。 原発性(先天性)免疫不全症先天的な遺伝子異常による免疫系の欠陥。 続発性(後天性)免疫不全症生来は正常であった免疫系が、他の原因によって機能障害を受けて発症。 原発性は多くなく、大部分は続発性です。続発性(後天性)免疫不全...
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続・免疫の話
人体に備わった自己防御の仕組みである「免疫」。免疫の仕組みとしてよく知られているのは、抗体が活躍する「抗原抗体反応」ですが、それだけではありません。実はいくつもの仕組みが備わっていて、総合的に機能しているのです。前回は免疫の基本的な事項として、免疫反応や免疫系の構成因子・関連物質についてみてきました。今回は引き続いて、免疫のメカニズムについてみていくことにしましょう。 免疫のメカニズム -ここは前回のおさらいです- 免疫には、先天的に備わっている「自然免疫」と、後天的に獲得する「獲得免疫」があります。自然免疫は、一次防御として、異物を大まかに非自己と判断して即時的に排除する反応で、作用発現の早...
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免疫の話
免疫は人体に備わった自己防御の仕組みです。病気の予防や発症、そして治療にも関わっています。 今回は、この免疫について基本的な事項からみていくことにしましょう。 免疫と免疫反応の概略 「免疫」は人体(自己)にとって異物である「非自己」を判別して排除する生体に備わった仕組みです。ここで、非自己と判断され、免疫反応を引き起こすものを「抗原」といいます。 正常な免疫反応としては、 外来の物質に対する免疫:体外から侵入しようとする病原体や異物の排除、拒絶反応、罹患やワクチン接種による免疫獲得 自己由来の物質に対する免疫:異常細胞の排除や老廃組織の除去 逆に免疫の異常反応としては、 外来の物質に対する免疫...
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がんとくすり
がんの治療薬といえば、副作用のひどい抗がん剤というイメージがあるのではないでしょうか。 がんの薬物療法においては、いろいろなタイプの治療薬が開発されてきています。 今回は、がんの薬物治療について、その概略をみてみましょう。 がんの薬物療法 薬物療法は、薬の投与により病変の増大を抑制、縮小・消失させる治療です。 薬物療法が単独で施されるだけでなく、手術や放射線治療に併用されることが多くあります。 直接的にがん自体を標的にした治療薬以外にも、治療薬による副作用を予防、軽減する支持療法薬や、がんによる疼痛等の症状を緩和する緩和医療薬もあります。 根治の難しい進行期のがんのほとんどに対しては、延命・症...
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がんの診断と治療
がんは治りにくい病気と思われがちですが、医療の進展によって生存率は上昇しています。早期発見・早期治療も重要なファクターです。 がんは遺伝子の異常によるとは言っても、発症する臓器によっても特徴があります。 今回は、個別のがんについては言及せず、「がん」という病気全般に関する診断と治療の概要について俯瞰してみましょう。 がんの検査と診断 がんを疑うような何らかの症状が出た場合や、健康診断で異常な所見が見つかるといった兆候が見られると、受診して診断を確定する必要があります。 がんの診断に用いられる主な検査方法としては以下が挙げられます。 画像検査超音波やX線、磁気などの照射等により得られた画像から、...
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ゲノムとがん
日本における死因としては30年以上にわたって第1位で、しかも今や男性で3人に2人、女性では2人に1人が罹患するという生涯罹患率の高い「がん」。 この「がん」という病気にはゲノムが深く関わっています。 今回は、この「がん」という病気とゲノムの関係についてみてみましょう。 がんという病気(病態) 「がん」は元々自分の正常細胞であったものが、異常な細胞となってむやみに増殖してしまうものです。 正常細胞では細胞の数が適正になるように増殖がコントロールされています。しかし、この増殖をコントロールする仕組みが働かなくなった異常細胞は増殖し続けます。通常、異常な細胞は免疫機能によって破壊されますが、排除され...
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ゲノムと病気
ゲノムの多様性によって同じ種であっても個体差が生じます。血液型や体質といった形質への決定・影響があるのですが、この多様性が病気に繋がることもあります。 病気(疾患の発症)の要因としては、遺伝要因と環境要因がありますが、今回はゲノムと病気(がん以外)についてみてみましょう。尚、がんについては改めて取り上げることにします。 単一遺伝子疾患 メンデルの法則に従う典型的な遺伝病は、単一の遺伝子変異によるもので、原因となる遺伝子変異を持つ人のほとんどが発症するとされています。 単一遺伝子疾患としては、遺伝様式に以下のタイプがあります。 常染色体優性疾患:常染色体(性染色体以外の染色体)上の2つの遺伝子の...
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ゲノムと多様性
ヒトゲノムプロジェクトによって、21世紀初頭にヒトゲノムの解読が達成されました。これはヒトゲノムの塩基配列が特定できたということです。同時に、このゲノム解読を通して、ゲノム配列に個人差があることが明らかになりました。また遺伝子の発現メカニズムに関する研究も進んできています。 今回は、同じ種であっても種々の形質の違い、すなわち個体差を生じさせるゲノムを取り巻く多様性についてみてみましょう。 DNA配列における多様性 ヒトゲノム解読によって、個人個人のゲノムの塩基配列に差異が認められ、ヒトゲノムの多様性が明らかとなりました。 ゲノム(DNA)の塩基配列の変化としては以下のようなものがあります。 一...
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アルコール体質と遺伝子の話
薬や食品に対する反応の個人差の要因の一つに「体質」が挙げられます。 一般に体質には遺伝による先天的なものと、ライフスタイルや環境要因のような後天的なものが影響しています。 お酒の強さも遺伝形質の一つで、遺伝子が関係しています。 今回はこれをみてみましょう。 アルコールの体内動態 飲酒によって体内に入ったアルコールはどうなるか、その体内動態(薬の体内での動きADMEと同じです)をみてみましょう。 口から入ったアルコールは、約20%は胃、残りは小腸上部で吸収されます。 胃・腸から吸収されたアルコールは血液に溶け込み、門脈という太い静脈に入り肝臓に送られます。 摂取されたアルコールの大半は、肝臓で2...
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血液型と遺伝子の話
血液型にはいろいろな系統がありますが、血液型といえば、まずはA型/B型/AB型/O型というABO式血液型が思い浮かぶのではないかと思います。 この血液型は親から形質を受け継ぐ遺伝によって制御されています。 血液型を巡る遺伝子と遺伝の関係について、代表的なABO式血液型を中心にみてみましょう。 ABO式血液型 ABO式血液型は血液細胞の一種である赤血球に着目した分類法で、A型/B型/AB型/O型という表現型に分類されます。 このABO式血液型では、赤血球細胞膜の表面にある物質によって区別されます。 赤血球の表面を覆う赤血球細胞膜にはオリゴ糖鎖が存在しています。 血液型共通のオリゴ糖鎖に対して、A...
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ゲノムの話
病気の原因や罹りやすさ、薬の効果や副作用の度合いなど、個人で異なることが多々あります。その要因の一つに、ゲノムが挙げられます。ゲノムは生命科学の根幹をなすものですが、医療においても重要なものです。 そもそもゲノムとは何か、ヒトゲノムについて基本的な事項からみていくことにしましょう。 ゲノム ゲノムは生物の設計図、遺伝情報の全体を表す言葉です。 その情報の実体はDNAという物質にあります。 ヒトを構成する約60兆個の細胞にはそれぞれ核(細胞核)があり、その中にDNAはヒストンというタンパクとの複合体(クロマチン)として存在しています。 クロマチンは、複数のヒストンにDNAが少しずつ巻き付いたもの...
「医薬」よもやまばなし
同じ効果をもつ複数の薬-降圧薬の場合
いろいろな医薬品の開発が進められています。これまで治療法がなかった病気に対する薬が開発されて治療に使われるというのは当然望まれるところですが、既に治療薬が存在する病気に対して同様の効果を示す新たな薬も開発されています。 これはどういうことでしょうか。 今回は簡単な例として、高血圧で使われる血圧を下げる薬(降圧薬)を例にみてみましょう。 血圧の調節 血圧というのは、血液が血管壁に与える圧力(血管内圧)のことで、一般には動脈の内圧を指します。 血圧は心拍出量(心臓から拍出される血液量)と末梢血管抵抗(血管内での血液の流れにくさ)によってほぼ決まります。 血圧に関わる因子としては、心拍出量には心拍数...
「医薬」よもやまばなし
痛みの科学
痛みを感じることができないという病気もあって例外はあるものの、痛みは多かれ少なかれ誰しもが経験するものです。 痛みは不快な感覚ですが、身体の異常を認識させてくれるものでもあります。 今回はこの「痛み(疼痛)」を取り上げてみましょう。 痛みの伝達 痛みを感じる経路(痛覚伝導路)としては、末梢⇒脊髄⇒脳へと伝達されます。 末梢神経にある侵害受容器が刺激されると、神経細胞(ニューロン)を通って、脊髄後角⇒延髄⇒中脳⇒視床⇒大脳皮質へと痛みの情報が伝わっていきます。 伝導路にあたる神経細胞としては、侵害受容器~脊髄後角を一次ニューロン、脊髄後角~視床を二次ニューロン、視床~大脳皮質を三次ニューロンと呼...
「医薬」よもやまばなし
頭の痛い話
頭痛はごくありふれた疾患で、多くの人が経験したことがあるでしょう。 外見では分かりづらく、その痛みが理解されづらいところもあるでしょうが、本人にとっては辛いものです。 原因も症状も種々ある頭痛、今回はこれを取り上げてみましょう。 一次性頭痛と二次性頭痛 二次性頭痛とは、何らかの病変があり、これにより引き起こされる頭痛です。命に関わる病気が隠れていることがあり、まずは原因疾患の有無と特定を診断することが重要です。 二次性頭痛では、原因疾患の治療が先決です。 頭痛の発生が病変に起因しない頭痛を一次性頭痛といいます。 一次性頭痛の主なものは、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛の3つです。 二次性頭痛 頭痛...
「医薬」よもやまばなし
病気と治療の基本
病気に罹ったかなとなった場合、軽微な風邪といった症状を除いて、医療機関を受診して治療を受けることになります。治療を受けるためには病気の診断が必要です。 今回は病気と治療について俯瞰してみましょう。 身体の異常~治療 病気(疾病・疾患)は生体機能を維持する仕組みに異常が発生している状態です。多くは何らかの症状を示しますが、病気によっては自覚症状がなく健康診断等で指摘された検査値異常によって病気が疑われる場合もあります。 治療を受けるためには、受診して、どういう病気に罹っているのか診断を受けることが必要になります。その診断を確定させるために必要な検査が行われます。 診断が確定したら、治療方針を決定...
「医薬」よもやまばなし
iPS細胞
2006年に誕生したiPS細胞(人工多能性幹細胞)。2012年にはその成果を基に京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授がノーベル生理学·医学賞を受賞されたことでも話題になりました。 再生医療の世界で重要な役割が期待されるiPS細胞について、その応用も含めて概観してみましょう。 iPS細胞 生体は多くの種類の細胞によって形作られ、それぞれの持つ固有の機能が集まって生体を維持しています。それらの細胞は受精卵を出発点として分裂を繰り返しながら一定の機能や形を持つ細胞に変化(分化)してきたものです。細胞は未分化の状態から段階的に分化して身体の一部を構成する細胞になります。普通の細胞(体細胞)はいったん...
「医薬」よもやまばなし
再生医療等技術
再生医療に関連する技術は進展していて、難治性疾患等の治療への適用が期待されています。 この再生医療等技術に関して、これを推進すべく制定された規制の面から見てみましょう。 再生医療等に関する規制の枠組み 日本における再生医療の実用化を推進するために、2013年に法整備が進められました。 まず、再生医療推進法(再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律)が制定されました(2013年5月公布・施行)。これは再生医療の実用化促進を国の責務とした議員立法です。 これを受けて、再生医療等安全性確保法(再生医療の安全性の確保等に関する法律)と医薬品医療機器等法(医...
「医薬」よもやまばなし
再生医療等製品
人体に投与されて治療等に用いられるものとして医薬品がありますが、これとは別のカテゴリに位置付けられるものに「再生医療等製品」というものがあります。従来の医薬品では難しかった病気の治療に期待されているものです。 今回は、この「再生医療等製品」の概要について見てみましょう。 再生医療等製品とは 「再生医療」と聞いて、まず思い起こされることは、「失われた身体の組織や臓器等を再生して本来の生体機能を再建する治療」ということではないでしょうか。これだと何となく外科的な治療のイメージになりそうですが、「再生医療等製品」というのはもう少し範囲が広く、医薬品と同様の役割を持つ細胞や遺伝子といった形態の異なる...
「医薬」よもやまばなし
薬局と薬剤師
治療の手段としては、手術や放射線治療、あるいはカウンセリングといった方法もありますが、最も一般的なものは薬物治療でしょう。 治療の決定は医師ですが、この医療用医薬品を扱う場所は主に薬局、掌るのは薬剤師です。 今回は、医療用医薬品を扱う薬局と薬剤師についてみていくことにしましょう。 薬局 薬局は、医療用医薬品に関しては薬剤師が調剤業務を行い、患者さんに必要な情報とともに薬を渡す所です。 病院・診療所内にある薬局は医療法で「調剤所」として定義されているものです(特例で「薬局」と呼んでいいことになっています)。 病院・診療所内ではない市中の薬局を開設するには、所在地の都道府県知事(もしくは場合によっ...
「医薬」よもやまばなし
診療科と専門医
具合が悪くて治療を受ける場合に医療機関の選択に迷うことはないでしょうか。医療機関には診療科目が掲げられていますが、意外に多様に感じられるかもしれません。 今回はこの標榜診療科目と専門性についてみてみましょう。 診療科目 近代医学では、まず内科、そして外科、産科の歴史が古いとされますが、医学の進歩に従って専門分化してきた経緯があります。対象とする器官系(呼吸器・循環器・消化器)や臓器・部位(眼・耳鼻咽喉・皮膚・心臓・脳神経など)あるいは用いられる技術(放射線・麻酔・リハビリテーションなど)、それに年齢(小児)や性別などが区分としてでてきています。 医療機関が標榜できる診療科目は医療法で定められて...
「医薬」よもやまばなし
医療従事者
病気に罹ったり怪我を負ったときには、医療機関で専門の知識・技術と資格を有した人から治療を受けることになります。また医療体制が問題になる際などには「医療従事者」という言葉がニュースで取り沙汰されることがあります。 医療従事者というのは、厳密に定義された用語ではありません。医療に従事するというと、直接的に医療行為を行う人だけでなく、間接的な業務を含めて医療に携わる人が対象となると捉えることもできます。 今回は、直接的に医療行為に携わる専門職(医療に関する資格保有者)について、主な資格と関連法規をみていくことにしましょう。 医療に関する専門資格 医療と言えば、まず思い浮かべるのは「医師」でしょう。 ...
「医薬」よもやまばなし
ドラッグ・リポジショニング
医薬品をゼロから開発するには、多くのプロセスと、それに伴う時間とコストがかかります。また開発の難度は上がっており、成功確率は高くありません。既存の薬を新たな目的に転用できれば、時間とコストの抑制、ドロップリスクの低減を図ることができそうです。 こうした試みをドラッグ・リポジショニングと言いますが、今回はこれを取り上げてみましょう。 ドラッグ・リポジショニングの位置付け 医薬品は研究開発の過程で様々な試験を実施しますが、更に市販後に多くの患者に使用されて初めて得られる情報も多くあることから、市販後にも情報を蓄積し、より適正な用法、副作用の出やすい患者の特定といった医療現場でより良い形で使用しても...
「医薬」よもやまばなし
医薬品の承認制度
医薬品の製造販売には品目ごとに承認を受けることが必要です。医薬品を実際に市場に出していくためには、それまでの研究開発の成果をもとに有効性・安全性・品質について確認・審査されて承認を受ける必要があるのです。 医薬品は生命に関わるものですからその承認には慎重にならざるを得ませんが、その承認審査には時間を要することによるドラッグ・ラグ等の問題もあるのが現状です。 有効性・安全性を確保したうえで、より迅速に医薬品を使用できるようにする制度整備も進んできています。 今回は医薬品を市場に送り出すための承認制度について、その概要をみてみましょう。 医薬品の製造販売承認制度 医薬品を製造販売するには、医薬品と...
「医薬」よもやまばなし
薬を扱うための許可制度
医薬品は生命に関わるものです。それ故、誰でも医薬品を製造したり販売したりしてよい訳ではありません。 医薬品に関しては多くの薬事規制がありますが、今回は医薬品医療機器等法(旧薬事法)に定められている医薬品を事業として扱うために必要となる許可の制度について、その概要をみてみましょう。 医薬品の製造販売と製造 医薬品を実際に市場に出す元売(発売元に相当)のことを「製造販売」と言います。 以前(2005年の薬事法改正前)は発売元が自身で製造するべきという考えが前提にあり、医薬品の有効性や安全性は製造者が責任を負うという考え方でしたが、改正後は自社で製造せずに委託製造することを可能とし(輸入販売の扱いも...
「医薬」よもやまばなし
要らない薬
40兆円を超えて尚増加傾向にある国民医療費の中で、薬剤費は約5-6兆円を占めています。 かつて大量の処方が「薬漬け医療」と批判されたこともありました。医師が処方するほど医師自身の利益に繋がる薬価差益に関しては、前回触れた薬価改定を通じて是正されてきています。有用な薬剤には医薬品開発推進の観点からも相応の薬価を付ける必要があり、薬剤費は単純な抑制というより医薬品の適正使用による薬剤費の適正化が求められます。 医薬品の適正使用は、費用の面からだけでなく最適な医療に繋がるものです。 適正使用の取組みのうち、今回は特に高齢者で問題視されるポリファーマシーについてみてみましょう。 ポリファーマシーとは ...
「医薬」よもやまばなし
薬の値段
日本の医療制度では皆保険制度なので、全ての人が公的医療保険制度に加入することになっています。公的医療保険が適用される保険診療では、費用は国が定めた公定価格になります。保険適用となる医療用医薬品の公定価格が薬価と呼ばれるものです。 今回は、この薬の値段について見てみましょう。 薬価基準制度 薬価基準とは、保険医療に使用される医薬品の品目と価格を定めたものです。 薬価基準制度において、保険医療制度下で使用される医薬品は薬価基準(価格表)によって保険から支払われる価格(保険償還価格)が定められています。製造販売承認を受けた医薬品は、一連の手続きを経て薬価が算定され、薬価基準に収載されて初めて医療現場...
「医薬」よもやまばなし
医療関連制度
病気になったとき、ちょっと面倒だとか嫌だなと思うことはあっても(感染リスク等が非常に高くなる非常時は別として)通常きちんと病院にかかることに大きな障壁はないですよね。これは社会として医療に関する仕組みができているからです。 今回は、日本におけるこの医療関連の制度・仕組みについて見てみましょう。 社会保障制度 日本においては憲法第25条に「生存権」の規定があります。第1項に国民の生存権の保障(すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する)、第2項に国民の生存権を保障するための国の責務(国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及...
「医薬」よもやまばなし
後発医薬品
先発医薬品(新薬)は既に市場に出ている医薬品とは異なる新規性のある医薬品ですが、一定期間を過ぎると、後発医薬品の参入が可能になります。今回は、この後発医薬品について見てみましょう。 先発医薬品と後発医薬品 先発医薬品、いわゆる新薬は「すでに製造販売の承認を与えられている医薬品とは有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が明らかに異なる医薬品」と定義されます。今までにない新しい薬ということですね。 これに対して、後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品は「既承認医薬品(先発医薬品)と有効成分、投与経路、含量、用法・用量が同一で、効能・効果が同等な医薬品」を指します。つまり既に世の中にある...
「医薬」よもやまばなし
薬の名前
医薬品には製品名がありますが、その有効成分である物質にもいろいろな名前があります。今回は、この医薬品やその有効成分の化合物に関する名前について見てみましょう。 化学名 物質の構造を正確に表現した名前は「化学名(chemical name)」です。 この特徴は名前から化合物の構造が一意に特定できることです。 創薬研究の過程では注目する基本骨格に対して化学修飾していくことがあるため、社内ではこの基本骨格を中心に慣習的に命名することもあるようですが、正式な化学名はIUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry:国際純正・応...
「医薬」よもやまばなし
バイオ医薬品
従来は化学合成による低分子医薬品が主流でしたが、最近では生物によって生産される物質に由来するバイオ医薬品が台頭しています。今回は、このバイオ医薬品の概要を見てみましょう。 バイオ医薬品とは 生物によって生産される物質に由来する医薬品をバイオ医薬品(生物学的製剤)と呼びます。 一般に、遺伝子組換え技術や細胞培養技術等のバイオテクノロジーを応用して製造されるタンパク質を有効成分とする医薬品を指します。現在の主役は抗体医薬です。 広義には、ヒト血液から精製される血漿分画製剤のような生体成分由来の医薬品や、ワクチン・ペプチド・核酸医薬品等の生体成分に類似した特性を持つ医薬品も含みます。 主...
「医薬」よもやまばなし
薬と知財
医薬品は多くの時間と費用をかけた研究開発により、多くの知識・情報を積み上げて生み出されるものです。そうしたことから、医薬品産業というのは知識集約型産業と言えます。知的創造活動には、知的財産としての権利(知的財産権)があります。従って、医薬品とこの知的財産権は密接な関係があります。 では、医薬品と知的財産権の関係を簡単に見てみましょう。 知的財産権 知的財産とは知的創造活動の成果であり、財産的価値を有する情報ということができます。 知的財産権制度は、知的創造活動によって生み出されたものを創作した人の財産として保護するための制度です。具体的には、知的財産について創作者に一定期間の...
「医薬」よもやまばなし
製薬のプロセス
今日の医療において、欠かせない医薬品。一つの薬が世に出るには長い時間と多額の費用がかかると言われます。 では、一つの新薬に対する製薬のプロセスを簡単に追ってみましょう。 概略 医薬品は生命に関わるということで、厳しい法的規制を受けます。医薬品は製品ごとに製造販売の承認を厚生労働省より受ける必要があります。 製薬に関する業務は、製品が世に出るまでの研究開発と、承認後(市販開始後)の製造・販売、営業、市販後調査・安全対策に大別できます。 市販までの大まかな流れは次の通りで、この過程を「創薬」と呼びます。 新薬候補を見つける 新薬候補の有効性・安全性を確かめる 製造販売の承認を...
「医薬」よもやまばなし
薬の基本
経験的に有用な自然界のものを薬として使用するようになってから、いくつかの変遷を辿って、今では多様な薬が使われるようになっています。今日の医療において、医薬品は重要な位置付けにあります。 では、基本に立ち返って「薬とは何か」ということを簡単にみてみましょう。 医薬品の特性 医薬品は、主に人の疾病の治療に使用される生命と密接に関係する物質です。 用途としては、以下が挙げられます。 病気を根本的に(原因となるものに作用して)治療する・・原因療法 病気による症状を軽減する・・対症療法 薬物治療以外の治療を補助する(手術時の麻酔・免疫抑制・感染防御等) 病気の発症を防い...
「医薬」よもやまばなし
薬の変遷
今日の医療において、医薬品は欠かせない存在です。病気や怪我は健康、ひいては命にかかわるもの、その治療に役立つものを追究することは自然なことと言えます。 そうしてみると、人と薬の関係は古くからあることがわかります。人類の歴史、とりわけ科学の進展とともに、薬も変遷してきています。では、簡単にその歴史を辿ってみましょう。 薬の起源 人々が暮しの中で、自然界にあるものを病気や怪我の際に使用してみることで、役立つもの(改善効果のあるもの)を経験的に選り分け、使用するようになったのが薬の起源と言えます。 特に植物は「薬草」という言葉があるように、種々のものが用いられ、その知識が記録されて...
「医薬」よもやまばなし
抗インフルエンザ薬
インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することで発症します。医薬品としては、予防目的のワクチン、治療のための抗インフルエンザウイルス薬があり、より有用性のある新薬が開発されています。 インフルエンザの季節的な流行 今冬もインフルエンザが流行しています。例年、10月頃(2018年は9月)から流行の兆しが見え、11月後半頃から罹患者が大きく増加していき、1月から2月にかけてピークを迎えます。概ね3月、場合によっては4月には収束します。 インフルエンザは世界的に流行するパンデミックが過去に何度か発生しています。有名なのは1918年から広がったスペイン型インフルエンザ(通称、スペイン風邪...
「医薬」よもやまばなし