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株式会社日立医薬情報ソリューションズ

Column

医療従事者

「医薬」よもやまばなし

2020年11月13日

病気に罹ったり怪我を負ったときには、医療機関で専門の知識・技術と資格を有した人から治療を受けることになります。また医療体制が問題になる際などには「医療従事者」という言葉がニュースで取り沙汰されることがあります。
医療従事者というのは、厳密に定義された用語ではありません。医療に従事するというと、直接的に医療行為を行う人だけでなく、間接的な業務を含めて医療に携わる人が対象となると捉えることもできます。
今回は、直接的に医療行為に携わる専門職(医療に関する資格保有者)について、主な資格と関連法規をみていくことにしましょう。

医療に関する専門資格

医療と言えば、まず思い浮かべるのは「医師」でしょう。
「医師」に関しては「医師法」で規定されています。医療を掌る立場で、医師国家試験に合格して厚生労働大臣の免許を受けなければなりません。医師には、正当な理由なくして診療・治療を拒否できないという応召義務があります。また無診療で治療することは禁止されており、診療録(カルテ)の記入・保存の義務があります。

臨床医として、医師は内科や外科、眼科や皮膚科というように専門が分かれていますが、歯科は別です。歯科医療にあたる「歯科医師」は「歯科医師法」で規定された国家資格で、「医師」とは別の資格です。

医療の現場で医師とともにお世話になるといえば「看護師」ではないでしょうか。
「看護師」を規定しているのは「保健師助産師看護師法」です。この法規で規定されているのは、「保健師」「助産師」「看護師」「准看護師」で、これらを合わせて「看護職員」といいます。

  • 保健師:厚生労働大臣の免許を受けて、保健指導に従事
  • 助産師:厚生労働大臣の免許を受けて、助産、妊婦・褥婦・新生児の保健指導に従事
  • 看護師:厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者等の療養上の世話または診療の補助に従事
  • 准看護師:都道府県知事の免許を受けて、医師・看護師の指導の下で傷病者等の療養上の世話または診療の補助に従事

保健師・助産師・看護師は国家資格で国家試験に合格する必要があります。保健師・助産師は看護師国家試験に合格したうえで、それぞれ保健師国家試験・助産師国家試験に合格する必要があり、看護師の業務も行うことができます。

薬に関しては「薬剤師」が掌る立場で、「薬剤師法」で規定されています。薬剤師国家試験に合格して厚生労働大臣の免許を受けなければなりません。正当な理由なくして調剤を拒否できないという応召義務があり、医師・歯科医師の処方箋によらなければ調剤はできません。薬剤師は処方箋の内容を確認し、処方内容に疑義が生じた場合は、発行した医師に問い合わせる「疑義照会」をすることが義務付けられています。また患者・家族などに対して薬剤の適正な使用のために必要な情報を提供しなければなりません。処方箋への必要事項の記入・保存の義務があります。

緊急時に主に救急車内などの救急現場で、医師の指示の下に救命救急処置を行うのが「救命救急士」です。
「救命救急士法」で規定される国家資格で、国家試験に合格して厚生労働大臣の免許を受けます。救急搬送時の医療行為が可能となることで救命率の向上等に寄与しています。

「診療放射線技師法」で規定される「診療放射線技師」(国家資格)は、医師・歯科医師の指示の下で、放射線を人体に対して照射する業務を担います。放射線照射は診断や治療において行われます。

医療現場で種々の検査を担うのが「臨床検査技師等に関する法律」で規定される「臨床検査技師」(国家資格)です。血液等人体から採取した検体を用いて検査する「検体検査」と、心電図や超音波検査など医療機器を使って身体を直接検査する「生理学的検査(生体検査)」があります。

医師の指示の下に生命維持管理装置(人工透析や人工呼吸器等)の操作及び保守点検を行う「臨床工学技士」も「臨床工学技士法」で定められた国家資格です。

眼科関連の検査や弱視・斜視といった視能の矯正を行う「視能訓練士」も「視能訓練士法」で規定された国家資格です。

「理学療法士及び作業療法士法」に基づく国家資格である「理学療法士」「作業療法士」、「言語聴覚士法」で規定される国家資格「言語聴覚士」、それに前述の「視能訓練士」はリハビリテーション専門職とも言えます。

また医師の指示の下に、義肢(義手や義足)及び装具の採型・製作及び身体への適合を行う「義肢装具士」も「義肢装具士法」に規定される国家資格で、リハビリテーションに関わります。

「社会福祉士」は「社会福祉士及び介護福祉士法」で規定される国家資格で、心身の障害等により日常生活に支障のある人に対する相談対応や助言・指導、福祉サービス提供者や医師との連絡調整、援助といったサポート全般を担います。
「精神保健福祉士法」で規定される「精神保健福祉士」(国家資格)は、精神障害者に対する相談対応や助言・指導、援助を行います。

「栄養士法」では、都道府県知事の免許を受けて栄養指導に従事する「栄養士」、厚生労働大臣の免許を受けて療養に必要な栄養の指導や施設における給食管理を担う「管理栄養士」が規定されています。

歯科関連では、歯科医師の他、診療をサポートする「歯科衛生士」、義歯や補綴物の製作・加工を行う「歯科技工士」という国家資格があります。

チーム医療

上記のように、医療専門職として種々の資格が規定されていて、医療機関を中心に従事しています。
医療の高度化・専門分化の潮流もあって、一人の医師だけに依存するのではなく、医療に従事する多種多様な医療スタッフが各々の高い専門性により連携・補完することによってよりよい医療を提供しようという「チーム医療」の推進が図られています。

私たちの健康に大きな役割を担う医薬品、そして医療・ヘルスケア。
そうしたQOL(Quality Of Life)産業界全般にわたって、そのプロセスや情報を支えるITを介して、日立医薬情報ソリューションズは人々の健康・QOL向上に貢献していきます。


2020年11月13日
吉田 亜登美

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