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株式会社日立医薬情報ソリューションズ

Column

薬を扱うための許可制度

「医薬」よもやまばなし

2020年08月06日

医薬品は生命に関わるものです。それ故、誰でも医薬品を製造したり販売したりしてよい訳ではありません。
医薬品に関しては多くの薬事規制がありますが、今回は医薬品医療機器等法(旧薬事法)に定められている医薬品を事業として扱うために必要となる許可の制度について、その概要をみてみましょう。

医薬品の製造販売と製造

医薬品を実際に市場に出す元売(発売元に相当)のことを「製造販売」と言います。
以前(2005年の薬事法改正前)は発売元が自身で製造するべきという考えが前提にあり、医薬品の有効性や安全性は製造者が責任を負うという考え方でしたが、改正後は自社で製造せずに委託製造することを可能とし(輸入販売の扱いも同様)、社会に売り出す発売元(製造販売するもの)が責任を負うという考え方になっています。

事業として製造販売を行うには製造販売業の許可が必要となります。そのうえで製造販売しようとする医薬品の品目ごとに製造販売業者が承認を受けることが必要となります。

製造販売業者では、製品に対する有効性・安全性の責任を負うため、そのための体制が義務付けられています。
品質管理面では、自社製造か否かに関わらず適正な品質管理下での製造、出荷後の品質上の問題への適切な対応が求められます。品質管理の基準はGQP(Good Quality Practice)と呼ばれます。 製造販売後の安全管理の基準はGVP(Good Vigilance Practice)と呼ばれ、安全管理情報の収集・評価、安全対策等を担う必要があります。
品質管理・安全管理を徹底するために統括製造販売責任者を設置することが義務付けられています。
統括製造販売責任者、品質保証責任者及び安全管理責任者を医薬品製造販売業三役と言います。

医薬品の製造販売と製造1

一方、医薬品を製造するためには製造販売業の許可とは別に製造業の許可が必要です。
製造業の許可は製造所ごとに必要で、製造する医薬品の内容によって区分されており、許可を得た区分に対してのみ製造が可能となります。

医薬品の製造販売と製造2

医薬品の販売

医薬品製造販売業者から出荷された医薬品は、流通を担う卸売販売業者を介して医療機関・薬局等に届けられ、必要とする患者・消費者はここから入手することになります。

医薬品の販売は、「薬局または医薬品販売業」の許可を受けたものしか行えないことになっています。ここでいう医薬品の販売というのは、医療機関等や一般消費者に対する販売を指しています。医薬品製造販売業者が薬局、医薬品製造販売業者、製造業者、販売業者に販売することは製造販売業の許可の範囲で認められており、医薬品販売業の許可を受ける必要はありません。また、医薬品の製造販売業者や製造業者に販売する製造業者も医薬品販売業の許可を受ける必要はありません。

「薬局」とは、薬剤師が医療用医薬品の調剤業務を行う場であり、また一般用医薬品の小売販売も行うことができることになっています。調剤というのは医師の処方箋に従って医薬品の調合や取り揃えることで、薬剤師でなければ行うことはできません。と同時に、医薬品の服薬情報等について患者さんに説明する役割もあります。
但し、病院・診療所内で調剤する院内処方についてはこの薬局の定義には該当せず、医療法で「調剤所」として定義されています。(受診した病院・診療所以外の薬局での処方を院外処方と言います)

医薬品販売業としては、3種類の販売業が規定されています。
①店舗販売業
②配置販売業
③卸売販売業

卸売販売業③というのは、いわゆる医薬卸で、多数のメーカーの医薬品をまとめて取扱い、ニーズに応じて医療機関や薬局・薬店等に届けるという、医薬品流通を担っています。取引先となる薬局・薬店等の小売販売業では扱える医薬品の範囲が定まっていますので、その範囲での販売ということになります。許可は営業所ごとに受けます。

店舗販売業①及び配置販売業②は一般用医薬品の小売販売です。

配置販売というのは、店舗を構えずに個々に家庭を継続的に訪問して常備薬(配置薬)として薬を置き、使用した分の対価を回収するという形態です。いわゆる「富山の薬売り(置き薬)」のスタイルです。
配置販売業の許可は、配置しようとする地域の都道府県の許可を受ける必要があります。

店舗販売というのは、店舗を構えて要指導医薬品・一般用医薬品の販売を行う街中の薬屋さん「薬店」です(上述の調剤を行う「薬局」とは別です)。一般用医薬品の販売を行っている(調剤を行っていない場合)スーパーやコンビニも店舗販売業になります。
店舗販売業の許可は、店舗単位です。

医薬品の販売

ここまで見てきたように、医薬品メーカーという点では製造販売業、製造業があり、販売面では製造販売業者と小売りを繋ぐ卸売販売業、患者さん・消費者に届ける小売りに相当するところでは、医療用医薬品を扱うことのできる薬局、一般用医薬品のみの店舗販売業・配置販売業が定められています。いずれも許可が必要となっています。

私たちの健康に大きな役割を担う医薬品、そして医療・ヘルスケア。
そうしたQOL(Quality Of Life)産業界全般にわたって、そのプロセスや情報を支えるITを介して、日立医薬情報ソリューションズは人々の健康・QOL向上に貢献していきます。


2020年08月06日
吉田 亜登美

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