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株式会社日立医薬情報ソリューションズ

Column

病気と治療の基本

「医薬」よもやまばなし

2021年05月14日

病気に罹ったかなとなった場合、軽微な風邪といった症状を除いて、医療機関を受診して治療を受けることになります。治療を受けるためには病気の診断が必要です。
今回は病気と治療について俯瞰してみましょう。

身体の異常~治療

病気(疾病・疾患)は生体機能を維持する仕組みに異常が発生している状態です。多くは何らかの症状を示しますが、病気によっては自覚症状がなく健康診断等で指摘された検査値異常によって病気が疑われる場合もあります。
治療を受けるためには、受診して、どういう病気に罹っているのか診断を受けることが必要になります。その診断を確定させるために必要な検査が行われます。
診断が確定したら、治療方針を決定して治療に進みます。治療方針の決定には、対象疾患に加えて、重症度、合併症、年齢、アレルギー等の患者背景が考慮されます。
治療後も再発予防のための観察やケア、完治に至らない場合の緩和ケア等、必要なケアが行われます。現状可能な治療では治療効果が見込めない場合には、少しでも患者さんの生活の質(QoL:Quality of Life)が良くなるようにケアが行われることになります。

身体の異常~治療

症状

症状(症候)というのは、患者さんが示す心身に関する訴えや、患者を観察したときに認められる異常な身体所見のことです。症状の背景には、それを引き起こす病気が存在します。

病気によっては複数の特徴的な症状を示し、症状の組合せ・パターンによってある程度原因となる病気を推測することが可能です。一方で、同様の症状でも原因が異なることもあり、症状だけから疾患を特定するのが難しいことも多々あります。
症状の強度や新たな症状の発現等は、病気の程度や時間的経過で変化するものです。
症状は病気を推測するための有用な情報であり、また病気の進行や治療効果の指標にもなります。
主な身体症状を領域別に挙げてみると以下のようになります。

  • 全身症状:炎症、頭痛、疲労感・倦怠感、発熱、浮腫(むくみ)、体重減少、高血圧、低血圧、貧血、ショック、頚部腫脹・リンパ節腫大など
  • 脳・神経系:意識障害・失神、けいれん、振戦(ふるえ)、めまい・ふらつき、睡眠障害、抑うつ、神経痛など
  • 呼吸器系:息切れ・呼吸困難、咳・痰、咽喉頭炎、気管支炎など
  • 循環器系:動悸、胸痛、徐脈、頻脈、四肢冷感など
  • 消化器系:腹痛、悪心・嘔吐、食欲不振、腹部膨満感、下痢、便秘、黄疸など
  • 感覚器系:口渇、味覚異常、目の渇き、眼痛、目のかすみ、視力低下、難聴など
  • 皮膚系:発疹、湿疹、蕁麻疹、掻痒、炎症など
  • 骨格・筋系:関節痛、手足のこわばり、腰痛、痺れ、筋力低下など
  • 泌尿器・生殖器系:尿量減少、頻尿、排尿障害、勃起障害など

検査と診断

受診した患者さんに対して、医師はまずは問診によって症状や病歴等の確認を行い、視診・触診・聴診、バイタルサインの測定によって状態を把握することにより、疾患の推測、重症度・緊急度の推定を行います。疾患候補の領域に応じた検査を行い、検査結果を踏まえて総合的に診断を確定します。

主な検査としては、以下のようなものがあります。

  • バイタルサイン:体温、脈拍、血圧、呼吸数などの測定
  • 一般検査《血液以外の体液や排泄物を対象とする外観・定性分析・顕微鏡による観察等》:尿検査、糞便検査(便潜血)、胸水・腹水・髄液検査など
  • 血液学的検査《血液中の血球検査、血漿の凝固線溶系検査》:赤血球数、ヘモグロビン濃度、白血球数、白血球像、血小板数、血液凝固機能、電解質、動脈血液ガスなど
  • 臨床化学検査《血清中物質の化学的分析》:肝機能検査、腎機能検査、心機能検査、糖代謝検査、脂質検査など
  • 免疫学的検査《血清試料を使用した抗原抗体反応を原理とする分析》:免疫、感染症、腫瘍マーカー、自己抗体、内分泌に関する検査
  • 生理機能検査《患者から直接生理的情報を収集する検査⇔検体検査》:心機能(心電図・心エコー)、脳波、呼吸機能(スパイロメトリー)、肝・腎機能(腹部エコー)
  • 病理検査《患者の組織、細胞を採取して性状を評価》:細胞診、組織診
  • 画像検査《放射線や超音波等を用いて病変の存在・部位・大きさ・性状等を描出》:X線単純撮影、造影検査、断層撮影(CT・MRI・超音波検査)、内視鏡検査
  • 遺伝子検査《血液から抽出したDNAに対してターゲット遺伝子の異常を検査》:遺伝子検査、遺伝子パネル検査

治療

主な治療としては、外科的治療、薬物治療、非薬物療法、放射線治療、更に後遺症などに対するリハビリテーションが挙げられます。

  • 外科療法(手術)
    -   外科的切除術、器質(器官の特質)における障害の除去や機能再建術など
  • 放射線療法
    -   病巣部に放射線を照射することで疾患細胞を死滅させる
  • 薬物療法
    -   原因療法・・病気の原因となるものに作用して根本的に治療する
    -   対症療法・・病気による症状を軽減する
    -   補充療法・・生体機能に必要な物質を補う
  • 非薬物療法
    -   生活指導、食事療法、栄養管理、精神療法、運動療法など
  • リハビリテーション
    -   後遺症などに対する機能の改善・回復

病気に罹患しないに越したことはありませんが、具合が悪ければ、素人判断でなく、きちんと受診して治療を受けることが肝要です。

私たちの健康に大きな役割を担う医薬品、そして医療・ヘルスケア。
そうしたQOL(Quality Of Life)産業界全般にわたって、そのプロセスや情報を支えるITを介して、日立医薬情報ソリューションズは人々の健康・QOL向上に貢献していきます。


2021年05月14日
吉田 亜登美

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