Case
田辺三菱製薬株式会社様は、医療用医薬品を中心とする医薬品の製造・販売を行う製薬企業である。安全性統合運用サービスの導入により、従来の運用に比べ安全性システムのデータ品質の向上と運用の効率化を実現された。
田辺三菱製薬株式会社様は、製品の安全性を管理する基盤システムおよび周辺システムを全面的に刷新するプロジェクトにおいて、安全性情報管理システム「Argus(※1)」の本番稼働にあわせ、周辺システムを含めた統合運用を日立医薬情報ソリューションズに委託することを決定された。
※1 Oracle Argus Safety : Oracle社提供のグローバル安全性情報管理システム
安全性情報管理システムを運用していく上で、製品情報等のマスタメンテナンス、データ品質維持のための入力ルールメンテナンス、システムエラーの対応や運用回避の検討が必要となる。効率よくシステムを運用していくためには、PV業務の知見に加え、Argusに関する技術知識および運用保守経験を有する要員を社内で育成する必要が生じる。
また、従来の安全性情報管理システムの運用においては、運用ベンダがシステム毎に異なりサービスレベルが不統一であること、問合せの窓口が統一されていないため担当者間の個別対応によりデータ品質の低下を招いたことなどが問題となっていた。
日立医薬情報ソリューションズの安全性統合運用サービス(AMO)は、お客様のニーズにあわせて機能別にサービス提供が可能である。サービス導入においては、Argus導入ベンダが稼働後もシステムの保守を予定していたことから、工程を設計フェーズと構築フェーズに分け、設計フェーズで役割分担を明確化した上で各サービスの構築を行った。また、システム毎の運用レベルが不統一である課題を解消するために、ITIL準拠のITSMツール「LMIS(※2)」を導入し、運用ルールの統一を図った。
※2 Lifecycle Management for IT Service : Salesforce社提供のITSMツール
■Global Service Desk
安全性システムの問合せ窓口が統一されていない課題を解決するため、システム運用の一次受付窓口を一本化する、安全性領域専用のサービスデスクを開設。海外拠点からの問合せに対応できるように、英語対応と24時間/365日サービス提供可能な体制を構築した。
■Operating Team
マスタメンテナンスやシステムエラー、入力ルールに関する問合せ等の対応を効率的に行うため、エンドユーザと業務担当者/システム保守ベンダとの間を取り持つ役割を担うOperation Teamを立ち上げた。運用文書(依頼様式、手順書等)の準備やメンバーへのトレーニングを通じて、問合せの内容の切り分け/回答、内容に応じた適切な宛先(業務担当者、システム保守ベンダ等)へのエスカレーションができる体制を構築した。また、これまでエンドユーザが実施していた一部の帳票出力などの定型作業を手順化することで、作業をOperation Teamが巻き取り、正確で効率的なサービス提供することを可能とした。Operation TeamにはArgus入力ルールの文書作成に携わったメンバーを配置し、文書メンテナンスや、入力手順に関する問合せへのサポートを実現した。
■Expert Team
Argus構築プロジェクトや運用経験の豊富なメンバーによるExpert Teamを構成。難易度の高いArgusの依頼作業やエラーの対応支援、製品ナレッジ提供等のサービスを行い、Operation Teamとの連携により顧客に対する手厚いサービス提供を実現した。
■Management Team
LMISで発行された作業依頼/問合せなどのチケット状況および課題を管理し、日々発生する課題や改善案をお客様と共有する組織を構成。サービス提供状況を月次で報告すると共に、運用改善提案を継続的に実施した。
統合運用サービス稼働後に発生した作業依頼や問合せは、Global Service Deskが共通の窓口となりLMISにチケットとして集約されるため、状況を俯瞰的に管理することが可能になった。Argus本番稼働後に発生した大量のインシデントや至急の作業依頼も、LMISチケットに記載された内容や対応期限からOperation Teamがトリアージを行い、優先度の高いものから順に対応/エスカレーションを行うことで、運用の効率化に貢献した。チケットには症例入力ルールに関する問合せも多数含まれたが、その内容を踏まえOperation Teamにて入力ルールの文書を更新することで、ユーザーに適切なルールが共有され、データ品質の維持に繋げた。
稼働後に発生した不具合や問合せには、原因特定の難しい複雑なものも多数含まれていたが、Expertが対応案の検討を支援することにより業務担当者の負荷が軽減され、効率的により多くの課題に対処することが可能となった。また、改修作業(変更管理)において、検証環境でのテストに業務担当者が多く時間を取られていたが、Service Leadからの提案により、検証パターン/シナリオに基づくテストをOperation Teamが代行できるようにサービスを追加し、業務担当者の負荷を軽減することができた。
設立 | 1933年(昭和8年)12月13日 |
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所在地 | 大阪市中央区道修町3丁目2番10号 |
代表者 | 代表取締役社長 上野 裕明 |
資本金 | 500億円 |
事業概要 | 医療用医薬品を中心とする医薬品の製造・販売 |
ホームページ | https://www.mt-pharma.co.jp/index.html |
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